令和6年能登半島地震の震央の空間的広がり

2024年1月1日午後4時10分に、最大震度7、気象庁マグニチュード=M7.6(国際的なマグニチュード=モーメントマグニチュード=Mw7.5)、能登半島東北部の深さ16kmで地震が発生しました。

研究成果が続々と上がってきて、やはり複数の断層が連動したのは確からしい気配がしてきました。
ある速報によれば、40秒間で120kmに亘って活断層が動いた(破壊が進行した、という言い方をします)という結果もあるようです。

Solid Earth Channel(SEC)では、発生当初5時間で、震央位置がどう変化していったかを、GIFアニメにて示しました
ここに示された震央は、概ね上述の120km圏内に収まっているように見えます。

今回は、発生から3日間(2024年1月1日16時00分~4日15時59分)の震央位置を1時間ずつ時間を延ばして累積を表示した図をGIFアニメにしました。
同じく、使用したデータ&画像は、気象庁の震央分布です。

ここから見えることの前に、この付近の活断層はどのように把握されていたのかを見ます。
日本海における大規模地震に関する調査検討会 報告(概要)』(2014、国交省・内閣府・文科省)のp.15に、日本海側の活断層が示されており、そこから能登半島付近を抜粋しました。

赤い線は断層線、それ以外の色つきの矩形は、その断層線から、どちら向きに断層面が傾いているかを示しています。
「F+二桁の数字」は、検討会が付けた赤い線(断層)の番号です。

上述のSECの記事(発生当初5時間)のGIFアニメの震央位置は、概ね、F42とF43の断層上に位置しているようです。

では、発生から丸3日経った2024年1月4日16:10時点までの震央はどう分布しているのかを見ましょう。
これは、破壊面(=断層が動いた面)は今回動いた活断層内に収まっているのか、それとも越えているのかを見るのに役立ちます。
つまり、F42、F43上に収まっていれば、他の断層を刺激していないということになります。
今回は画像枚数が72枚と多いので、1時間で1枚の絵を0.2秒で送っています。
ただ、やはりせっかちさん向けに0.1秒のも用意しました。
■2024年1月1日16時00分~4日15時59分の、累積の震央分布(0.2秒送り)

■2024年1月1日16時00分~4日15時59分の、累積の震央分布(0.1秒送り)

このGIFアニメによると、この3日間で地震数は500回を優に超えますが、そのほとんどの震央が、活断層F42・43上や隣接した箇所にあるようです。
しかし、F39など他の場所にも地震が起きていることがわかります。

F42・43の活断層の応力が解放された(地震の前まで東西にギュ~っとおされていた岩盤が、断層が動いたことでそのギュ~が小さくなった)せいか、断層からやや離れた岩盤にもピリピリと亀裂が入っているかのような、極小さな地震が起きています(物理的には当然ですので、特殊なことではありません)。
その他、ナゾの深発地震(100km~300km以深)も起きていますが、これはなんでしょう。
よくわかりません。

いろいろあるものの、気になるのはやはり、F39です。

F43はよく見ると、2つの長方形(活断層)からなっています。
つまり、F42・43は計3つの活断層から成っています。
3つの活断層が連動したので、大きな規模(M7.6、Mw7.5)になったわけです。

この大きな応力解放により、比較的長いF39が刺激されてまた別の巨大地震を発生させないか、それが心配です。
ちなみに、上述の検討会で想定しているF39のマグニチュードはMw7.4です。
現時点までにF39上でも地震は起きてしまっているもののM3やM4レベルです。
「もう隣の断層の動きにビビルのはこれくらいにして、M5以上とか起こさないでよ!」
とF39に言ってやりたいです。