2020年11月気象庁移転の地、自然災害リスクを勝手に査定

大手町の代名詞であった気象庁(あくまで個人の見解です)。
2020年11月に、とうとう別の地へ移転します(予定)。
今をときめく虎ノ門。
コロナ騒動のさなか、2020年6月にひっそりと開業した虎ノ門ヒルズ駅が最寄り駅です。

で。
地震・火山マニアとしては、気象庁には地盤のしっかりしたところに移転してもらいたい!
そう思い、勝手に査定しました。

そもそもこの場所は

ところで。
時は戻って2016年9月。
たまたまこの地に用事があり、気象庁が移転することを知りました。

ここには1991年に廃校になった港区立鞆絵(ともえ)小学校があったそうです。
その後は小学校の建物をそのまま利用して、2010年まで港区立エコプラザがありました。
そして今年、気象庁ビルが誕生するというわけです。

googleストリートビューさんは、過去の町歩きもできるという、タイムトラベルにもってこいのツールです。
なので、2009年、2015年、2020年のこの地を散歩してみました。
【2009年】

【2015年】

【2020年】

桜の木は伐採しちゃったようですね・・・。

ちなみに緯度経度は下のとおりですが、詳細な場所を知りたい方はこの緯度経度をままコピーしてgoogle mapで検索してください。
35.66626393895336, 139.7458389998636

筆者が気づいた2016年、建設予定地の写真を撮りましたが、それまでの更地を掘り下げる工事が始まっていました。

この写真の右下で切れてしまっていますが道路があり、そこから見たのが、先ほどのストリートビューの位置です。

で、この写真を撮ったときに、明らかに右側が崖だったので
「むむ!?気象庁なのに崖下に建物を建てるのか!?それはけしからん」
と思って気になっていたので、開業前の今、勝手に査定しました。

利用するのは国土地理院の「地理院地図」と、国土交通省の国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」です。

移転先の虎ノ門の地盤と、今の気象庁がある大手町の地盤を比較します。

地形

地理院地図の陰影図を利用します。
■虎ノ門

「ココ」の文字の西側(左側)が、階段状に高くなっていっているのがわかります。
東側(右側)には浮世絵にも出てくるかの有名な愛宕山がそびえています。
やはりここは、崖下でした。
しかし、なぜ階段状なのでしょう?
このように、不自然に直線だったり四角形だったりする場所は、人間の手が入ったんだと思ってください。

■大手町

全体的にのっぺりしています。
そりゃそうです。
東京低地に位置していますから。
虎ノ門と縮尺が違うのが申し訳ないですが、皇居から西(左)に台地があり、そこから東の東京はひたすら低地(平地)です。
つまり、家康ががっつり町作りをするまでは、べっちょべちょでぐっちゃぐちゃの湿地帯でした。

これだけでも「どうも虎ノ門のほうが良さそうだ」という気がしてきます。
もう少し検証するために、実際にどのような地盤なのか見てみましょう。

地盤の種類

地理院地図の土地条件図を利用します。
■虎ノ門

青い点々は切土した土地です。
階段状になっていましたが、台地の斜面を切り崩して平坦な土地を作り上げたのだとわかります。
黄緑色は砂州です。
大昔、この近くに河川があったのでしょう。
その河川が普段の流れや洪水で土砂を運んでは堆積させ、を繰り返すとちょっとした高まりができます。
ここはそのようなちょっとした高まりだったのですね。

■大手町

赤い点々は盛土地です。
標高の低いところでの盛土地は、「地面がびちゃびちゃで使えないから土砂で盛ろう」ということで盛ります。
そりゃそうです。
東京低地に位置していますから(アゲイン)。

地盤の種類を見たら、大手町よりさらに虎ノ門の方がいい、ということがわかってきました。

地質

とどめに、地質はどうなっているか、地下を掘って地面が何でできているかを見てみましょう。
それを表したのが柱状図です。
柱状図は地下何mにどんな地質があるかもわかりますが、その地質がどれだけ固いかもわかる、非常に便利な図面です。

ですが、KuniJibanには残念ながら移転地も現気象庁の場所も、柱状図がありませんでした。
そこで、地盤の種類が似通った場所をピックアップしてみました。

どちらも柱状図の一部を抜き出しています。
画像にリンクを張ってあるので、全体を見たい人はそちらに行ってください。

さて、柱状図の見方です。複雑なように見えますがここでは2つだけ押さえればOKです。
・深度(m):地表からの深さです。
・N値(赤い折れ線):右に行くほど(数値が大きいほど)その地層が固いことを示しています。

■虎ノ門(の代わりの永田町)

地表から深さ11mくらいまではN値が5前後を推移し、深さ12mあたりからN値が10~20とやや固くなります。
そして深さ20mのところでN値の上限値である60に達します。
この固いのが基盤岩です。

■大手町(の代わりの両国)

地表から深さ12,3mくらいまではN値が2~3と、この時点で虎ノ門より柔らかいです。
深さ15mすぎでようやくN値が10に達します。
しかし、深さ17mでN値が最大の60である基盤岩に達するのは、虎ノ門より浅いです。

そりゃそうです。
東京低地に位置していますから(アゲインのアゲイン)。

標高を比べてみましょう。
虎ノ門は8.9mです。
大手町は3.5mです。
基盤岩の広がりが、この程度の範囲だとそれほど傾いてないと仮定すれば、標高の低いところからの方が到達が早いのは当然なのです。

土砂災害の危険は?

2016年の工事現場写真では、右側(西側に相当)が崖でした。
どうしても気になるので、港区の土砂災害危険図(PDF)を確認しました。
急傾斜地崩壊危険箇所には指定されていませんでした。

水害の危険は?

そういや、虎ノ門は砂州(氾濫原)でした。
現代でもどこかから水が来るかもしれない。
そう思い、港区の浸水ハザードマップ(PDF)を確認しました。

おおっとぉ!これはすごい!
すんでのところで水害リスクを回避しています!(色が付いているところは水が来る可能性あり)
さすが気象庁、抜かりない!

ということで、気象庁移転の地の自然災害リスクを勝手に査定してみました。

日本全体からすると東京というだけで関東平野にあるわけですから地震で揺れやすいですが、
でも、その中心地のなかにおいては、なかなかに自然災害リスクを避けた土地に移転する、ということがわかりました。

めでたしめでたし。