平成30年7月豪雨の雨量が東京であったら

2019/04/29

2018年7月10日追記
気象庁は7月9日、この激甚災害を「平成30年7月豪雨」と名付けました。
これに伴い、本記事のタイトルは、「2018年7月西南日本豪雨の雨量が東京であったら」から「平成30年7月豪雨の雨量が東京であったら」に変更しました。

2018年7月5日から続く豪雨(台風7号と梅雨前線の影響)は、西南日本に長時間大量の雨を降らせ、今日8日午後12時時点も降り続き、まだ特別警戒の地域が存在します。

今回総雨量が1,000mmを超える地域が存在しました。
1,000mmというとピンとこないかもしれませんが、1mということです。
1mとは、測定する場所ピンポイントに雨をためると1mにもなる量の雨が降ったということです。
今回は概ね2~3日の総雨量ですが、場所によっては1日(24時間)で500m近くも降っている地域もあります。

水は低い方へ流れますから、低い土地には、自分のところに降った雨と同時に周囲の高い場所に降った雨が全部集まってしまいます。
そのため、降水量以上の雨水が集中します。

集中の仕方は、
・普通に地面を流れてくる
・河川を経て流れてくる → 河川の氾濫、堤防の決壊につながる
・土砂とともに流れてくる → いわゆる土砂災害(地滑り、崖崩れ、土石流)
など多岐にわたり、その結果、床上浸水などの被害に発展します。

この量の雨が、大都市・東京を襲ったらどうなるでしょう。

東京都は、浸水予想区域図というのを発表しています。

東京(というか今の東京がある土地)は、幕府が移ってくる前からたびたび洪水に見舞われていました。
そのため、昭和の中頃から各戸に洪水マップが配られるようになり、今ではネットでかなり詳細な情報を閲覧できるようになりました。

さて、徳川家代々の治水事業から今日に到るまで、ひたすら治水事業を続けたおかげで昨今は大きな被害を見ません。
しかし、敵(雨)もさることながら、過去の例だけ見ていたのでは読めない雨量を近年経験するようになり、「今まで大丈夫だったから」と甘んじているわけにはいかなくなりました。

都の浸水予想区域図は、その近年の想像を上回る豪雨に対して、今のところ(2018年前期時点)神田川流域しか想定していません。

ちなみに、下記のような図を公表しています(クリックするとPDFが開きます)。

(神田川流域浸水予想区域図:2018.3東京都建設局から引用)

この図の見方ですが、もっとも簡単にいうと
「今回の西南日本の豪雨くらいの雨が降ったら、神田川に面した土地は3m前後は水没しますよ」
ということです。

総雨量は690mmと想定しています。
東京は河川だらけですが、これだけの雨量を想定して作られた図は、他の流域ではありません。
きっと、これから作ってくれるのでしょう。

2018年3月に発表されたこの図は、以前のものよりかなり進化しています。
自分の家の「地盤高」はどのくらいでどのくらいの「浸水深」になるのかの数値データも公表しています。

例えばこの図は、JR水道橋駅北側です。

水道橋の北側といえばみなさまご存じ、東京ドームがあります。
最も北側の濃い青の部分を見ると、□の中の上下に数字があります。
上が3.94、下が3.1となっています。
これは、ここの場所の地盤高(東京湾の平均海面から測った高さ)は3.94mで、総雨量690mの雨が降ったらこの場所は3.1m浸水します、という意味です。

この図は、建物名はもとより、町の名前や駅名すら書いていませんので、よほどその土地に詳しくなければ、調べたい土地をピンポイントで探し当てるのはなかなか難しいですが、道路の形からなんとか見たい場所に行き当たるよう頑張ってみてください。

そのほかの河川の浸水深については、情報が古い(10~15年前に作成されたもの)で、近年のとてつもない降水量を想定していませんし、そのせいか、2m以上浸水した場合は全部同じ色になっている(つまり、2mの浸水も10mの浸水も同じ色になっている)など、神田川流域ほど親切な図になっていません。

ですが、見ないより見た方がいいので、必ず一度は見て、水害危険度を認識するようにしてください。