まさかの偉業~1ヶ月以内の回答

2019/04/29

前回のエントリー「JAMSTEC『地球大変動』に参加して」で、以下のような部分の記述があった。
A-1.嬉しかった点(主催者側)
・紙で書いた質問の後日返事をくれるというサービス付きだった(※)。
会の終盤、その直前までに書かれた参加者からの「質問」のうち、できる限りに返事をしていく、というコーナーだった。
はじめから、質問が多くて時間内には答えきれないという想定であったのだろう。
アナウンスで「答えきれなかった分は、連絡先の記載があるものについては個別に返事をする」とのことだった。
自分は、以下のような質問をした。
1.破壊が海溝軸に達しない状態というのは、アスペリティで始った破壊がアスペリティ内または遷移域で止まり、また破壊による変位が、遷移域や定常すべり域内で吸収されている状態ということですか?
2.破壊(変位)が海溝軸に達するための条件として3つありました。すべて満たす必要がある場合、破壊速度が速い、というのは東北地方太平洋沖地震の「破壊速度が比較的遅い」というのと矛盾しませんか?
(どれか1つの条件を満たせば、というなら3.11は別の条件があったのでしょうね)
(破壊速度が速ければ海底に到達する可能性は高い、というのはわかります)
たぶん、参加者のなかでも結構専門的なことを聞いているだろうと思ったので、答える人を惑わせないように(ちゃんと専門的な答えをしてもらえるように、ともいう)「自分は地球物理学出身です」と書き添えておいた。
#注「破壊」
地震そのもののこと。地下の岩盤がバリバリ割れて地震が起こるが、そのバリバリ割れるのを破壊という。
#注「アスペリティ」
固着域。断層面でも、ガッチリくっついているところとそうでないところがある。ガッチリくっついているところをアスペリティという。
#注「海溝軸」
海溝を上から見ると海底面だが、その海底面に描ける海溝の線のこと。
で、これらの質問がどうなったか。
会場で壇上に持ち込まれたその質問紙の枚数は、大変な数だった。
正直、あの枚数に全部答えるなんて、研究時間を何週間つぶせばいいんだ、いや、きっと答えないだろうと思っていた。
ところが…
来た。
返事が来たのである。
「IFREE公開シンポジウムQ&Aの送付について」
というメールのタイトルで、今日、来た。
実に、ちょうど1ヶ月である。
そして、その返事も自分を十分満足させるものであった。
返事を転載すると著作権法に引っかかるので、簡単に。
1.の答え
研究途上のホットな話題(つまり答えが出てない)
2.の答え
遅いといっても破壊が海溝に達する条件を満たす速度は十分に満たしていた
とくに2の答えには「私見ですが」が随所にちりばめられていた辺り、本人が回答しているということである。
間違っても院生などに振っているわけではなかろう。
いやはや、この対応は誠にあっぱれである。
なお、回答については名前を伏せて後日サイトに掲載するとのことだった。
実は、ほかにも質問したいことがあった。
しかし、その内容は、もし研究している人がいないのであれば、自分がそれを研究するためにこの業界にカムバックするか!?と一瞬脳裏をよぎったが、これだけブランクがあると研究の世界には戻れないのが現実。
このシンポジウムで質問する必要もないので、今度別の研究者に質問してみる次第である。