地球科学関連シンポジウムはこう聞こう

   

シンポジウムは敷居が高いだろうか?
いや、まったくそんなことはない。今はたいていweb申込みでポチッとなで完了。しかも学術的なものは無料であることが多いから、敷居は実に低い。

これを例に見てみよう。
古地震・古津波から想定する南海トラフの巨大地震

一般も参加可能な今回のシンポジウム。
会場に入ったらまずは席の確保だ。基本的には前の方がいい。演者は図を多用するので、絵が見られないと理解度が甚だ下がる。次にケータイの電源をOFFかマナーモードにしよう。これは最低限のマナーだ。トイレが近い人は通路側の席を確保すると良い。横並びで座らされるため奥に入ってしまうと、途中でもよおしても出づらいのだ。
それと、できれば奥さん連れでペンを持っている男性の隣が良い。なぜなら、そういう人は自分はとーっても地球科学に興味はあるが、奥さんを連れて行かないと奥さんに怒られる。だから一緒に来た。奥さんの手前、眠くても眠るわけにはいかず、その隣で奥さんはスヤスヤ・・・。このような人々に囲まれると、熱気が伝わると同時に静かに集中して講演を聴けるメリットがある。一方、男性の一人客はいびきをかいて寝ることさえある。これは携帯が鳴るよりマナー違反だ。隣に座ってしまったら、講演が聞こえないストレスと耳障りな音のストレスのダブルパンチ。だからこそ、席の選び方は慎重に。

さて、今回。地球科学系のシンポジウムは平均年齢が非常に高いシルバーな会場になるのが常だが、なぜか一見して若い。openingみたところ防災関連の企業人が多いようだ。どうやら、地質系の人々の資格の更新ポイントとなるシンポジウムだったらしい。こういうこともたまにはあるが、そうでない場合は人生の先輩方が多い場合が普通である。

ただし、ここで注意がある。これもイレギュラーとなってしまうが、会場をよくよく見渡すと、全国の地球科学者がゴロゴロいるではないか。なかには大御所中の大御所研究者も紛れていて、発表者に鋭い質問を浴びせまくっていた。いや、むしろ、質問者は大御所しかいなかった(そんななかでも一般人にも砕けた言葉での講演が続いたのはありがたい。#一部例外あり)。プログラムを見ると発表者は全部で7名。その分野の大家よりも、30歳代、40歳代の研究者が多い。

さて、講演の始まりだ。冒頭にキーワードが話されることがほとんどなので、ここだけは外さないようにしよう。あとは図に集中する。言葉がわかりづらくても説明が難解でも、図を見てるとわかることがよくある。すると、図とキーワードがリンクして、パッとわかる瞬間がくることもある。始めて聞いた言葉は話の流れに合わせて最初はテキトーに解釈し、違和感がなければその解釈はたいていあっている。なんかおかしいなと思ったら、自分の解釈を変えればいいだけだ。
(今回とは違って)本当に一般向けの講演であれば、講演後の質問タイムに恥ずかしがらずに質問してみよう。アナタがわからない言葉は、他の人もわからないことが多い。質問するのは恥ずかしいかも知れないが、黙って聞いている周囲の人は、アナタに感謝するはずだ。

講演の聞き方全般だが、講演のすべてを理解しようとするとストレスがたまるだけなので要注意だ。だから、演者が一番言いたいことさえつかめれば合格点といえる。そこには、報道には乗らない新しい考えやまったく逆の意見などもある。よほどの専門誌でしか見られない内容や、下手するとそのシンポジウムが初めて公開された内容であることさえある。今回のもまさにそうだった。地球科学の話はそれだけで楽しいが、他の一般人は誰も知らない話を一番最初に聞けるという優越感が味わえるのも、シンポジウムの醍醐味だ。

地球科学の知見には、まだまだ多様性が存在するものも多く、決着がついていないしいつ決着がつくかも分からないことも多い。しかし、その多様性と不確定性を受け入れることができたなら、報道に流されない真の地球科学的思考力が育つと言えよう。そういう力を育てられるのも、シンポジウムの旨みである。


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