土石流、何がコワイ、どこがコワイ

      2013/05/20

海の中でも軽いものほど遠くに飛ぶの記事で、
次回は海洋性堆積物について詳しくおはなしするアナウンスをしました。
しかし今、鹿児島が大変です。
ということで、今回は急遽、
土石流についてのおはなしです。
さて、鹿児島では大雨です。
どれくらい大雨って、
鹿児島の年間降雨量はだいたい2300mm。
それに対し、
昨日の夕方から今日の夕方の予想降雨量がなんと300mm。
つまり、
365日で2300mmのところが
1日で300mm。
一日で、一年の1/8以上が降っちゃってるって計算です。
さあこうなるとニュースの話題はだいたい土砂災害。
そして早くも土石流が起きたというニュースが飛び込んできました。
土石流
みなさん「そんなのめったにお目にかからないや」
と軽く見ていませんか?
でも、この山だらけの日本では、
山間部ならどこで起きてもおかしくない
んですよ!
土石流がどうして起こるとかなんとか、
今日は小難しいことはおいておきます。
まずは、何がコワイか知ってもらいましょう。
山で大雨が降ると山の上の方では、
大きな岩と泥が混在した地面が大量の水を吸い込みます。
すると地面はやわやわに。
斜面なのでもちろん地面は傾いています。
重い岩は、やわやわの地面でじーっとしていることができません。
「うーん、もう耐えられん!」
と岩が思うと、岩はゴロンと転がり出します。
岩は大きいので、周囲の泥や他の岩も巻き込みます。
水(雨)が、それらの巻き込みやすさを手伝います。
水と一緒に岩や泥・石(土砂といいます)がどんどん斜面を下ると、
下った分だけ、通った斜面の泥や岩を巻き込みます。
よくいう「雪だるま式」に滑り降りる土砂。
乾いていればまだしも、
下ったどこの斜面もみんなやわやわですので、
その滑りやすさといったらすごいです。
こうして滑り落ちる土砂は、
その量とスピードをどんどん上げていきます。
人間が山のふもとでプラプラ歩いているところに、
この量とスピードをどんどん大きくしていった
土砂と水が襲ってきたらどうなるでしょう?
はい。想像しただけでコワイですね。
直撃されて、生きていられるわけがありません
さて今、なにげなく書いた
「人間が山のふもとでプラプラ歩いて...
というくだり。
「そんなタイミング良くそんな場にいないよ」
とお思いでしょう。
その考えが命取りなんです!
人間は、住みやすいところに住み、
歩きやすいところを歩きます。
家を建てるのに、わざわざ急斜面に建てるより、
もともと平地のところに建てた方がラクでしょう。
山を歩くとき、両サイドが崖である尾根を歩くより、
谷筋に沿って歩いた方が、なんとなく安心でしょう。
#山登りのプロはどう思うかは知りません。
もうお分かりのとおり、
谷は土石流の通り道になりがちです。
だから、危ない。
そして平地。
ここがなぜ危ないか。
山の裾野の平地といって思い浮かぶのは、扇状地
そう、扇子(せんす)の形をした土地です。
扇状地
(写真:Google Mapより)
扇状地って、何百年も何千年もかけて、
水が山を滑り降りることで土砂を運んでできた、
平坦な土地なんです。
つまり、いってしまえば扇状地は、
土石流の終点なんです!
ですから、とくに扇状地のはじまる部分に近い土地。
山の傾斜が一定とすれば、
ここは土石流が最もスピードを上げる
一番危険な場所なんです。
近年、大変痛ましい事故が起きました。
けっこう新しい老人ホームに土石流が突っ込み、
多くの方の尊い命が奪われました。
筆者は、あの凄惨な現場の画(え)を見たとたん、
怒りにはらわたが煮えくりかえりました。
「どうしてこんなところに施設を作ったんだ!!!」と。
ほんのちょっとでも地球科学を知っていれば、
絶対にあんな場所に人を住まわせません。
しかもただの扇状地ではなく、
現在進行形で(※)であった谷のふもとです。
:小川よりさらに小さい水の流れ。
あんな小さな土管ていどで、
あんな巨大なエネルギーを蓄えた土石流の量やスピードを
変えられるはずがありません。
実に個人的な意見ですが、
あれは明らかに人的災害です。
自然災害ではありません。
土石流に巻き込まれるために建てた」
としか思えないからです。
施工主が仮に土石流について無知だったとしても、
施工業者とか行政とか、誰か気づかなかったのでしょうか?
おっと、品位を保つ地球科学のブログなのに、
何やら声高に叫びはじめてしまいました。
あの痛ましいニュースの話はここで止めましょう。
ということでこれを読んでくださったみなさん。
そういう場所には住まないでくださいね。
また、そういう場所に遊びに行ったときには、
土石流が起こるきっかけとなる、
大雨、地震、噴火などの「衝撃」に注意してください。
これらの衝撃を感じたら、とりあえず谷から離れ、
高いところか広い平地の山から離れたところに非難してください。


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