露わになった恐ろしい断層の姿1

      2013/05/20

それは、1995年11月3日夕刻のこと。
大のオトナ数名が、
たんぼを大きく掘った穴に
不安定に突き刺さったアルミのハシゴを、
猛スピードでかけおります。
「!!!」
声にならない声、
いや、もしかしたら誰も声は出してないけど、
人々により突如変えられた空気が
自分の耳には悲鳴に聞こえたのかもしれません。
しかし、何が起きてるのかはサッパリわからず。
ですが、
多くの大人が異様な興奮状態に陥っていることは、
その場にいた人なら誰でも肌で感じられました。
翻って1週間ほど前。
先輩から
「割のいいバイトがあるけどやらない?」
と声をかけられました。
内容を聞けば、交通費・食費・宿代別で、
日給なんと1万円。
しかも、地球科学の勉強までできてしまうとのこと。
お金をもらって地球科学に没頭できるとあれば、
やらないはずがありません。
バイトの内容は
「地面を掘って出てきた地層のスケッチをすること」
でした。
地面を掘るのは、ユンボ(ショベルカー)です。
つまり、お絵かきさえすればいいということでした。
他に重要な要素は、と先輩に聞くと
「とくにないよ。まあ気楽に」。
それだけ聞いて、11月2日の朝、
友人とともに長野県はJR大糸線神城駅へ向かいました。

大きな地図で見る
長野県のその一体は、
本州を分断する糸魚川-静岡構造線というのが走っています。
簡単にいうと、断層群が存在している場所です。
長野県上伊那郡から下伊那郡の80km弱にわたる
伊那谷断層帯というのがあることが知られています。
この断層帯の現物調査のためのプロジェクトが進んでいました。
その人足として、末端の筆者たちにも声がかかったのです。
今回の調査は、断層帯のなかの1つの、
神城断層です。
行きの電車はワクワクでいっぱいでした。
ところが、瞬時に大きな不安へと変わりました。
長野県に入る頃には車窓には、
なにやら白くチラつくものが...
そう、雪です。
雪が降っていたのです。
まさか、そんな寒いとは想像もしていなかったので、
防寒着などもってきていません。
靴だけは、登山靴を履いてきましたが、
それでもなぜか不安は大きくなるばかりです。
神城駅に到着。
待っていたのは泥だらけのワゴン車でした。
不安がさらに増し、現場に到着すると...
なんたることでしょう。
現場は、収穫が終わった後のたんぼでした。
神城断層遠景
背後には、白い帽子を被った白馬岳とその峰々が、
悠々とその姿を見せていました。
ワゴン車から降りると、
ビチャァ...
いきなり泥沼です。
そして、筆者たちを運んでくれたおじさんの一言。
「さぁ、作業着に着替えな。」
こうなると、目が点です。
ジーンズジャンパー登山靴
これで十分に仕事ができると思っていた筆者たち。
ところが、作業している人たちはみな、
防寒機能のついた作業着
長靴分厚いゴム手袋、そしてヘルメットという、
筆者たちとはまるで違う世界の重装備でした。
車中から増大した不安はこれでした。
「ど、どうしよう...」
ここまで来て、引き返すわけにはいきません。
困り果てた筆者たち。
さぁ、どうする!?
「露わになった恐ろしい断層の姿」→次回を読む最終回を読む


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